2008年10月11日土曜日。世間一般では三連休一日目。しかし、私の通う高校は私立、しかも男子校で進学校、そう、文部科学省の命令を華麗に無視して普通に授業が行われているのだった!
ところで、世間では三連休なので、JR東日本は三連休をエンジョイする世間一般の人向けに、「三連休パス」という切符を発売している。これは、JR東日本管内+一部の私鉄・第三セクター+JR北海道の青森から函館までの特急と新幹線に乗り放題、指定席は四回までとれて中高生用は14000円という、土・日きっぷの進化型である。
ってああ、ひょっとして土・日きっぷの説明もしないといけないのではないだろうか。よく考えたら今までこのページで使った切符といえば青春18きっぷくらいなものだし。
土日きっぷというのは、土曜日と日曜日にJR東日本の一部+一部の私鉄と第三セクターで特急と新幹線に乗り放題、指定席も四回までとれて中高生用は9000円というお得な切符だが、北東北のあたりがエリアから外れているので、ここ数年、鉄道研究部の旅行で土日きっぷばかり使ってきたせいで、北東北がきれいさっぱり、空白地帯となっているのだ。中2の時に鉄道研究部の合宿で北海道に行ったので東北本線と東北新幹線だけは乗りつぶしオンラインの地図上でも赤く(既乗)なっているが、ほかの線は全て青色(未乗)に塗られているのであった。
左の乗りつぶしマップは、2007年12月時点のもので、実際にはこのあと左沢線や米坂線などにも乗車しているので、長野新幹線と石巻線末端部を除いた、土日きっぷエリアを既乗なのだが、それにしたって北東北が殺風景過ぎる。(※画像はクリックで拡大されます)
というわけで今回は、北東北地方の西側・西北東北制覇を目指し、・・・ってこれはどの方角を目指せばいいんだ。
ちなみに、私はこの旅行のために、某女子高の文化祭に招待されたのをわざわざ断って来たのでした。ちゃんちゃん。普段は男子校で全く出会いがないなどと嘆いている癖にこのざまである。何を天秤にかけても趣味を優先するのである。我ながらダメ人間な気がする。
東京16:44―(とき335号)―18:35新潟18:44―(いなほ11号)―20:58酒田21:17―(羽越本線)―22:59秋田
授業が終わり(土曜日だから昼までの授業である)、鉄道研究部の週一回しかない例会に参加し、家に戻って荷物をとり、東京駅まで急ぐ。
途中、渋谷東口のビックカメラで、あれば便利だろうと思って、テーブルタップ(通称タコ足)を買いに行ってみるも…。10分で店内を一巡したが見つからず。結局何階にあったんですかね。未だにわからず。
ギリギリだと思われた時間に出て、ビックカメラに寄ったにもかかわらず、意外と時間が残ったので一本早い列車に乗ることにする。そういえば電光掲示板を見ていて気づいたことがある。
16時12分東京駅発とき333号に乗りながら考える。計画表には確かにそう書いてあるのだが。時刻表を見返したら、
東京16:12―(とき333号)―18:17新潟
東京16:32―(とき335号)―18:35新潟
予定表通り東京駅で30分も待っていたら、そこで既に計画が終了していたことであろう。酒田で駅寝するしかなさそうだ。これが、青春18きっぷ以外の切符で旅行するときのデメリットでもある(何)。
二週間後に迫った中間試験の勉強をお前はしなくていいのかという自問自答を華麗に無視して眠ること2時間、列車は新潟に到着した。
新潟駅自体はもう何回も来ていたので、最早飽きたといいたいくらい。さっさと特急いなほ号に乗り継ぐ。「いなほ」は新潟から秋田まで行く便や青森まで行く便もあるのだが、この「いなほ11号」は酒田までしか行かず、そこから先は普通列車の秋田行き最終…そういえば電化してたかなあ…列車に乗って行けというダイヤらしい。いっそ秋田まで行ってくれればいいのに。酒田止まりにして需要なんかあるのか。
近くに座っていたサラリーマン風の男は言った。
「さーせん、特急券くださーい」
車掌、答えて曰く
「お客様、土日きっぷで特急に乗れますが…」
なんとおっさんは土日きっぷを持っているのに特急券を買おうとしていたらしい。そういう普通じゃない切符を使うんだったら、ちゃんと調べましょうよ。
新潟の駅弁をほおばりながら、外を眺める。そういえば羽越本線のうち酒田までは土日きっぷエリアなので、余目からがずっと未乗区間か、でも夜だから外を見てもどうしようもないよなと思う。
これは酒田止まりの列車なので、秋田方面に行くには普通列車への乗り継ぎが必要なのはさっき書いたとおりである。しかし、どういうわけだろう、その特急から普通列車まで二十分も乗り換え時間があるのだ。なんて暇なんだ。
↑何を意図して作ったのだろう…
秋田行きワンマンカーは、オールロングシートで、旅情とか言ったものはどこかへ飛んでしまった。でも、大きなカバンを持った旅行客が普通列車にしてはたくさん乗っている。私と同じで羽越本線完乗を目論む同業者がいるのかもしれない(それはないか)。というわけで、いなほ11号を秋田まで延伸せよ。
前回の旅行でビジネスホテルに泊まるという選択肢を習得した私は、夜行列車も夜行バスも皆無な北東北地方を攻略するために、秋田で連続二泊することにした。
今回泊まる「(なんとかかんどか)こまちの湯(なんとかかんどか)」は、その名の通り温泉がついているのだが、何とお値段は四千円台。素晴らしい。それでも駅寝愛好家の横見先生が聞いたら絶叫しそうな値段ではあるが。
そのホテルは駅の西口から出て五分くらい歩いたところにあるそうなので、長い通路を渡り、外出ると、あまりの寒さに閉口。うわあ、10月の秋田を舐めていた。でも雪は降ってないらしい。
携帯で調べたところによると、「秋田中央道路」なる道路沿いにあるらしいので、まっすぐ歩けばどれかにぶつかるだろうと思った私は、とりあえずバスターミナルの南側から出て目の前にある通りを歩くことに。
見知らぬ土地を歩く時というのは、妙に時間がかかるような気がする。寒いしもう23時過ぎてて警察官とか来て職務質問とか補導とかされたらしゃれにならないので、早くつかないものか、田舎にも酔っぱらいっているんだなあとか、色々なことを考える。
看板は「秋田中央通り」と書いてあるので、たぶんこれのことだろうと思ってひたすらに突っ走っているのだが、一向に見つからない。徒歩5分って言うのは実は客寄せのために書いた誇張で、実は10分くらいかかるんじゃないだろうか、と思ってみたが時刻は23時30分。いくらなんでも時間かけすぎだ。
ひょっとして実は、道を間違えたのではなかろうか(そういえば「秋田中央道路」とはあっても「中央通り」ではなかった)と思って、右に曲がった(つまり北に進んだ)。
車の多さに怯えながら数分歩くと、ローソンが見えてきた。よく見たら、上のほうにずいぶんと高級そうなホテルがくっついていた。もうここに泊っていいすか?なんていう気もなくすほど高そうだ。
店員に道を聞こうとしたが、ホテルの名前に「こまちの湯」というのがついていることしか覚えていない。
私「えーっと『こまちの湯』という名前のつくホテルを知りませんか」相手はコンビニ店員、しかも田舎である。
店員「fぇをspくぉじぇ;w」すいません聞き取れません。
店員「てんちょー!」どうやら店員も知らないらしい。てんいんはなかまをよんだ!
てんちょー「ドーミーインホテル…じゃないかな?」えーっとですね、と地図を広げて説明を始めた。店長に抜擢されるだけあって標準語は話せるらしい。
どうやら「秋田中央通り」と「秋田中央道路」というのは全く別の道で、しかも地図の画像に表示されている「秋田中央通り」というのは自動車専用道路のことで、ドーミーインホテルの前の通りは「広小路」というらしい。紛らわしいわ。
言われたとおり、東側、つまり駅に戻る方向に歩くこと数分。
私「・・・・・・・?これ・・・・?」
目の前の建物には確かに、「ドーミーイン秋田 中通温泉こまちの湯」とあるのだが…高級感漂うロビーとかなりでかい建物である。これ、本当に4000円代なんすか?鉄研の合宿で泊まるホテルの相場はそれくらいなので、それに比べてかなり高そうなのだが…
チェックインの時、受付の人に「このホテルで合ってるのか?」みたいなことを聞いてどうやらただしいらしい。相場から随分と外れてると思うんですけど。
時刻は0時、とりあえず、明日の行程を存在しない列車で組んでいないか確かめよう。そうしよう。