ちょっと松山行ってくる 三日目
2007年12月31日 俺、この旅行が終わったら四国完乗なんだ…

 時は2007年12月31日午前0時、今年もあと一日だというのに私は神戸新港第三突堤とかいうわけのわからん名前のフェリーターミナルで並んでいた。そして、待合室にはなぜか電車でGO!のアーケード筺体が置いてあった。ここ、フェリーターミナルですよね?

 とりあえず偉い人(まあ、かの完乗挑戦中のとある先輩なんですけど)が言うには「和室のコンセント席」をとるのがいいらしいが、そもそも和室なんてどこにあるんだよと思っているうちにそろそろ和室が埋まってるんじゃないかってくらいまで人が増えてきた。

 そして、発見したころには当然そこは埋まっていたそうな。なんてこった。

 ゴミ箱の近くというどう考えても臭すぎて眠れない場所を陣取った私は、船の中の探検を始めた。

 売店で遅い晩飯もとい夜食の讃岐うどんを購入。鉄研の某先輩のごとく讃岐うどんめぐりなんてする気もしないので、こういうところでしか讃岐うどんを食べられない。

 この二つしか知らないって自分は負け組だと思うんだ。

 で、船の上のほうにゲームコーナーがあったのだが、そこになんかとてつもないレトロゲームが。

Ridge Racer

 リッジレーサーの初代なんて置いてありました。Since1993って書いてあるけど私の誕生日は1993年の1月なのである。生まれたころのゲームがいまだに稼働中というのはとても複雑な気分である。

 ほかはパチンコとかしかないので、さっさと退散して、風呂に入ろうと思ったらタオルを全く持ってこないというとてつもないことをやってのけたため、風呂になんか入らずに睡眠開始。それにしても、毛布の貸出とかやってないのかと思ってたらなんか売店で買えということらしい。ふざけてるのか。

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風が恋をはこぶ
海を遠く渡り
二人を結ぶジャンボフェリー
風の中感じる あなたの声感じる
届けてよ ジャンボフェリー
海と空のあいだ
白い海鳥が飛ぶ
どこまでも どこまでも つづいている
白い雲よ 白い波よ
この声を伝えて
風が恋をはこぶ
海を遠く渡り
二人を結ぶジャンボフェリー
風の中感じる あなたの声感じる
届けてよ ジャンボフェリー


※作詞作曲編曲 森香『二人を結ぶジャンボフェリー』、だそうです

 おはようございます。この音楽が突然流れ始めて、たぶん寝てた人たちのほとんどが目を覚ましたんじゃないか。時刻は午前4時10分。定刻通りなら高松東港に到着してないといけないはずだけど到着する気配すらありません。

 そして、この音楽が高松東港に着岸する4時30分くらいまで約20分間流れ続ける。もう下船する頃には立派に洗脳されている。そして、勝手に口ずさんでいることであろう。かーぜーがこーいーを…

 高松東港から高松駅までとてつもなく遠いので送迎バスが走る。で、神戸では有料だったその送迎バスはこっちは無料。何で違うのか。

 バスに乗ること15分、JR高松駅ご利用のお客様はこちらでお降りくださいと言われたのでそこで降りたのだが、駅まで非常に遠い。200メートルくらいある。普段ならこれでいいのだが、今は冬の早朝である。寒い。しかも海沿いだから潮風が容赦なく吹き付ける。寒い。大事なことなので二度言いましたよ。駅前に乗り付けてくれ。

 強風に吹き付けられながら高松駅に到着。もうこんな強風の中歩きたくないと思いながら、みどりの窓口に向かう。それにしても、朝4時から営業しているというのはJR四国にしてはかなりやる気である。どっかの横浜支社も見習ってほしいですね。この前ついに武蔵溝ノ口駅のみどりの窓口を7時から営業にしてくれましたしな!

「週末乗り放題きっぷください」

 この文章を読んでいる一部の人は愕然としただろう。お前、青春18きっぷはどうしたんだと。

 実は、今年中にJR四国を完乗するぞ、ってことで、気が付いたら特急ばかり乗るというとんでもない計画になっていて、いくら車内検札が甘い四国だからって特急ばかり3万円分も乗ってられないので、気が付いたら週末乗り放題きっぷとかいう特急乗り放題の切符を使っていたのである。しかもこの切符、普通この手の切符は年末年始使用不可なのに、こいつは土曜・日曜・年末年始のみ利用可という神がかった仕様なのである。

 しかし、朝4時なんかに来て始発の特急なんか乗ったって暇になることは目に見えているので、始発の土讃線に乗って阿波池田を目指す。そういえばさらし忘れた行程表

高松5:44―(予讃線・土讃線普通)―6:54琴平6:58(土讃線普通)―7:46阿波池田8:33―(特急剣山4号)―11:19海部11:27―(阿佐海岸鉄道)―11:38甲浦12:17―(阿佐海岸鉄道)―12:28海部12:31―(むろと2号)―14:01徳島14:28―(うずしお18号)―15:35高松15:49―(いしづち21号)―16:08宇多津16:21―(しおかぜ17号)―18:22松山18:47―(予讃線普通)―20:55伊予大洲20:57―(宇和海26号)―21:31松山

 四国の地名を一つでも知っているなら思うであろう、お前、日本地図を理解しているのか?と。

 そう思うのも仕方がない。高松から西南に向かっていたのに突然東を向いて徳島へ行った後南下して高知県と徳島県の境目くらいの微妙な土地に行った後一気に北上してそのまま最終目的地であるはずの松山を通り越して伊予大洲とか言う非常に微妙な場所に行って帰ってくるというのだから。

 寝てたら琴平というまたいつもの展開を発生させた後、阿波池田までは普通に起きていた。一応ここも乗っていない区間なので見ておきたいらしい。

 阿波池田で、一時間近く暇になるのだが、駅員がいるのに駅周辺には何もない。JR四国では特急停車駅すら無人ということが多々あるので、駅員がいる特急停車駅はよほど発展しているのかと思いきやそうでもない。駅構内にはKIOSKくらいしかないので、じゃがりこを購入。もうここまで来るとじゃがりこが主食。

 どういうわけだか温暖なイメージでむしろ雨すらまともに降らないイメージさえある四国で雪が舞い始めた。昨日の伊勢奥津の比ではない。寒いってレベルじゃねーぞ。東京でもまだ雪を見ていないというのにこれは…。

 雪の中を爆走する特急剣山。違和感ありすぎ。そして、「つるぎさん」に乗るまでこれを「けんざん」と呼んでいたやつ、いたらおとなしく徳島県警に自首だ。

 徳島を過ぎてから海沿いに出るせいか雪が止んだどころか春の陽気になった。逆パターンを発生させるとまさに「雪国」みたくトンネルを抜けたら…になるんじゃないかというわけのわからない妄想にふけっていたら寝ている。いくらジャンボフェリーの中で二時間しか寝てないからって何をしているんだか。

 終点の海部は名前の通り海が望める。そして駅員もいない。ここで待機しててもよいのだが、次の特急まで二時間近くあるのに駅前には当然何もないので、反対側のホームに止まっていた阿佐海岸鉄道の甲浦行きに乗る。たった2駅で270円とか暴利だろと東京の人なら思うかもしれないけど、地方ではよくあること。

 暇つぶしのつもりで甲浦に来たが、やっぱり何にもない。暇だ。車内にはいわゆるバックパッカーな人たちがいっぱいいた気がするのだが、全員バスに乗ってどっかへ消えた。さて、わざわざ室戸半島をぐるっと回って奈半利とか後免とかに行く気はないし、ウィキペディア先生にはスタンプがあると書いてあるのになんか切符が売ってない(=駅員がいない=スタンプ押せない)し、駅前の我田引鉄(我田引水をもじった言葉で、政治家が自分の地盤に鉄道を誘致すること)の象徴にしか見えない政治家の像を眺めるくらいしかすることがない。

 地元政治家の銅像を眺めながら数時間が経過(たぶん嘘)し、特急むろと2号(番号からしてつまりこいつが本日最初の上りのむろと号)に乗ってまた寝始める。

 もうここまで来ると寝過ぎってレベルじゃねーぞ。

 無駄にでかい駅ビルに定評のある徳島で、どう見てもあの踊りにあやかったとしか思えない弁当が売っていた。その名も阿波尾鶏(あわおどり)。どう見てもあれですね。思わず購入。←店の策略にはまった馬鹿。


 事態は風雲急を告げる。

車掌「切符を拝見いたします」
Me「えーっと…あれ…え?ちょt…」
 鞄の中をほじくり返す。週末フリー切符の案内券ならいっぱいあるけど…。
 ない。
車掌「えーと…じゃあまたあとで来ます」
 少なくとも、徳島のキオスク(阿波尾鶏を買ったところ)までは持ってたはず…ってまさか徳島のキオスクに落したんだろうか。

 何回探しても何回探してもない。エアーマンは倒せない。

 とりあえず車掌にはこのまま高松まで乗せてやるから駅で話をつけろとの事で決着。

高松駅員「えーっと、これじゃダメなのかい?」

 俺の財布にあった青春18切符を指して言う。松山までたぶん普通列車じゃ今日中に到着できないし。普通に運賃と特急料金を払えば6000円以上、所持金はそんなにない。

 乗車予定の特急列車は出発した。

高松駅員「松山まで行ければいいわけね?」

 もう伊予大洲に行こうなんて思わないから乗せてよね、ね。

 結局、「乗車の際は便宜を図ってくれ」みたいな言葉が書かれたとても怪しい券をもらって松山まで乗ることに。ところで名前と電話番号控えさせられたけど、これひょっとして後から自宅に運賃請求の電話が飛んできたりするんですかね。

 次の特急にはどうやら両親が載っているらしい。何でこうもわけのわからん裏設定を抱えてるのかというと、松山は私の本籍地で祖母がそこに住んでるから年末年始の帰郷をしようというわけで、ちょうどこの電車に親が乗ってるわけです。何でお前は大幅にエスケープしてるだって?気にしたら負けっていうやつ。

 中一の時(2005年)の四国合宿では「月見うどんを頼んだらおばちゃんの聞き間違いでいつの間にかてんぷらうどんになってた」という理解不能なことが起きていましたが、もうあれから二年半。すごい勢いで高松駅が見慣れた光景になっている。

高松5:44―(予讃線・土讃線普通)―6:54琴平6:58(土讃線普通)―7:46阿波池田8:33―(特急剣山4号)―11:19海部11:27―(阿佐海岸鉄道)―11:38甲浦12:17―(阿佐海岸鉄道)―12:28海部12:31―(むろと2号)―14:01徳島14:28―(うずしお18号)―15:35高松15:49―(いしづち21号)―16:08宇多津16:21―(しおかぜ17号)―18:22松山18:47―(予讃線普通)―20:55伊予大洲20:57―(宇和海26号)―21:31松山16:49―(しまんと7号)―17:07宇多津17:14―(しおかぜ19号)―19:19松山

 年末なので指定席の通路まで立ち客でいっぱいになって松山へ。おれの冒険はもう終わったばかりだ。

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