陰陽連絡を制する者が完乗を制す 五日目
2008年8月15日 三日ぶりの大阪

 …と言っても三日前はおおさか東線に乗っただけな気がするが。

運ちゃん「バスは定刻より少々早く、終点の大阪駅桜橋口に到着いたします」

 時刻は午前5時50分。そういえばかれこれ三日も風呂に入っていない。夏場にこれは流石に汚いので、「乗り鉄wiki」なるサイトで「清水湯」という銭湯が大阪駅から近いとが書いてあったのでそこに行こうと思う。

 「心斎橋から徒歩1分」ってお兄さん、大阪駅というよりは梅田駅から地下鉄に乗らないといけないじゃないっすか。まあいいや、時間ならいっぱいあるし。朝っぱらから大阪を観光するつもりでかなり余裕を取ってあるのだ。本当は大阪でクイズマジックアカデミー(QMA)がしたいんだけど

 心斎橋駅で降りたち、どのビルで曲がればいいのかよくわからないが突き進むと、確かにそこには銭湯がありましたよ。でも…

お盆休みのお知らせ

 なんてこった。そういえば世間ではお盆ではないか。そして今日はポツダム宣言受諾の日、世間でいうところの「終戦記念日」ではないか。でも降伏文書にサインしたのは9月2日だから国際法上は…などと言い出すとサンフランシスコ講和条約が調印されるまでが戦争だとか、平和条約を締結してないソビエト連邦とはいまだに戦争中だなどという方向に話がつながりかねないのでやめておこう。今日は終戦記念日だ。そして目の前にある銭湯は営業していない。

 わざわざ梅田から来てやったのに無駄足したなと思って、むしゃくしゃして駅に戻ったら「シャワー完備!ネットカフェ!」みたいな感じの宣伝を見つけた。そうか、ネットカフェに行けばいいんだな。

 広告のとおりのネカフェに入ると…

「条例に基づき、完全会員制となっております」
「会員証を作る際には身分証明証を提示願います」
「18才未満のお客様は個室席へのご案内ができません。オープン席となります

 …何と世知辛いんだ大阪市、いや大阪府の仕業か?東京のネカフェでは夜中に押し掛けない限り身分証の提示は求められないのだが。何とかしてくださいよ橋下さん…っていうとなんだか逆に厳しくする方向に進みそうだな。

 オープン席だろうとなんだろうとシャワーを借りられればいいので、わざわざ会員証を作って(もう二度と使わないだろうな)、入店。すかさずシャワーを借りようとしたら

 「あと三十分お待ちください」

 なんてこった、大阪での時間がほとんどネットカフェで終わってしまいそうだ。

大阪9:04―(東海道本線・山陽本線新快速)―10:05姫路10:12―(姫新線)―10:47播磨新宮10:50―(姫新線)―11:24佐用11:41―(姫新線)―12:38津山14:00―(因美線)―15:06智頭15:52―(因美線)―16:44鳥取16:58―(因美線)―17:47智頭17:56―(因美線)―19:09津山19:47―(姫新線)―21:26新見21:44―(伯備線)―22:41総社22:54―(吉備線)―23:29岡山


 結局残った時間は朝から営業しているゲームセンターに入ってQMAをしていたらしい(結局そうなるのかよ)。

 朝食を食べた覚えがないが、たぶん姫路で何とかする計画だったのだろう。実際のところ山陽本線と姫新線(きしんせん)のホームは異常なまでに離れているから絶対七分じゃなんとかならないけど。

 いやあ新快速は速いなとか思いながら(実際に90kmくらいあるのに一時間ちょっとで結ぶ)、駅そば食べたいなあとかぼやいていたが、やっぱり姫路駅での乗り換えはかなりぎりぎりであった。

 ←写真は播磨新宮駅から佐用までの列車であるが、姫路から播磨新宮もこの形式だった。ただしものすごく短い編成になったけど。

 播磨新宮での三分接続をこなしたあと、ひたすら姫新線に乗って佐用へ向かう。この路線は、路と昨日数分で素通りした見駅まで結んでいる。ところで「姫」を「キ」と読むのはこのパターン以外にあるのか。

 佐用(さよ)駅では、智頭急行線という第三セクターが乗り換え可能である。もともと国鉄が建設中だった路線を最近になって開通させたという新しい路線である。この路線に乗って鳥取に向かう(つまり、JRじゃないのでわざわざ追加料金を払う)ことも検討したが、金がかかりすぎるのと津山―佐用間が未乗なるリスクを考慮して結局止めた。

 今日は終戦記念日ということで、正午になったら黙祷をささげることも考えたのだが、列車に乗りながら一人黙祷をささげていたら本当にただの変人なのでやめておいた。

 で、車両はまたキハ120である。もういい加減にしてくれ

 津山で昼食をとることになっているみたいだが、何せ地方都市、駅前にはシャッター通りしか見えないぜ。

謎の食堂と地方の活力

 駅構内にこういう店があった。ただのうどん屋かなあと思って、上の画像をクリックして拡大図を見てほしい。

 入口の「お食事処」ののれんの裏にはかき氷の旗がくっついているし、右側の窓には「ラーメン・そばもできます」「あったか牛丼・焼うどんお持ち帰りできます」と書いてあり、「お持ち帰りできます。 やきうどん いなりずし おにぎり」。挙句の果てにこのロゴマーク、何でカッパが日本刀を持って暴れているんだ。

 ・・・いったいここは何の店なんだ。

 気になったので入ってみよう。よく考えたら三日前の姫路以来の駅そばではなかろうか。この店がいわゆる駅そばの範疇に含めていいのかという議論は置いといて。でも…

「牛丼くださーい」

 何を思ったのだろう。500円という吉野家よりも高いお値段を払って、しかもなぜか牛丼にはピーマンが盛られていた。わけわからん。

 高速で食べて、恐ろしく時間が余ってしまったので(だいたい次の列車が14時まで来ないってどういうことだ)、駅前散策をしてみよう。

 シャッター通りの前をものすごい勢いで車が走っている。なんというモータリゼーション。

 橋を渡って左に曲がるとそこにはアーケード街。真のシャッター通りというのが広がっていた。仮に店が撤退していなくとも今日はたいていお盆休みなのでほとんどの店が営業していない。なんか怖い。

 橋に戻ってくると、建物が古くなっているかなり大きなスーパー(ショッピングセンター?)が見えた。これまた不気味なのだが、あれ営業してるのか?

(※今調べたら「イズミ津山店」というショッピングセンターで、この当時は営業していたが2009年2月に閉店したらしい。)

 地方の活力ってやつを感じた。

←どこにゲームセンターがあるって言うんだろうね?

 津山から智頭急行線の終点・智頭駅まで因美線なる列車に乗る。車両はまたキハ120。もうどうにでもなーれ。

 東津山駅のほうが駅前が発展しているように見えるなあなどと思いながら、ノロノロ運転(たぶん時速30kmくらい)という堪へ難きを堪へ忍ひ難きを忍ひ(8月15日なだけに玉音放送にしてみた)、横見裕彦氏がJR線全駅乗下車を達成した美作河井駅の駅舎はまだ残ってるんだなあと感心していたら、同業者と思われる数人が車内から駅舎を撮影し始めた。ああ横見氏のパワーは偉大なんだな。

 智頭駅は智頭急行線の終点だというのに、駅舎はローカルだし、駅前は昭和三十年代な雰囲気が漂っていた。なんだか理由はよくわからないけど。

 鳥取行きの列車は、智頭急行線の車両らしく、明らかにJRのそれとは違う雰囲気を醸し出しているのだが、

形式番号:HOT 3508

なんて暑いんだ、形式名が「HOT」って…。

 とてもホットな列車だが、十五年前にできた車両なので、冷房はきいていて涼しい。カーテンもついている。うーん、キハ120とは大違いだな。というか第三セクター(=地元の自治体と地元の企業が出資)がこんなグレードの高い車両を作ったら税金の無駄遣いだとかなんとか言われないんですかね?

 鳥取駅。数年前にここに来た気がするが、ここも高速化工事とか称して高架化したらしく、新しめのビルに高架ホームが広がっていたのだが・・・どうして、出雲市駅と大差ないように見えるのだろう。

 夕食として駅弁(「元祖かにずし」だったか)を購入して、さて次の智頭行きは…

 ある意味あたりまえだけどさっきの車両の折り返しですね。そして何で行きはワンマンだったのに車掌が乗ってるんでしょうか。

 このあとどこへ行くのかと言ったら、津山まで戻って姫新線の残り区間を乗って終わり…かと思いきや、そのあと吉備線に乗っていくというとてもハード(?)なスケジューリング。いや、こんな夜中(総社駅到着は22時54分の予定)に吉備線乗ってどうするんだって?

 津山で夕食を調達してもよかったのだが、昼間見たような有様で、昼に寄ったとても怪しい食堂も開いてなさそうなので、さっき駅弁を買っておいてよかったなと思っている。で、ボックスが空かないのにどこで食えというのか

←姫新線普通列車新見行き

 ええ、写真のとおり、また120ですよ。はびこりすぎでしょ。E231系じゃないんだから。

 夜中なので外は田んぼなのか山林なのかすらわからない。こんなんで乗りつぶしして何の意味があるんだってたまに聞かれるけど、乗ったことには変わりないし明日もまた来るからいいだろう。

 昨日数分で素通りした新見だが、今日は18分も滞在する予定。山奥にあるにもかかわらずみどりの窓口はまだ営業中。営業時間は5時から23時…ってすごいやる気。うちの近所のJR駅なんて7時から22時ですよ。しかもどんどん営業時間が短くなってる。なんとかしろよ、横浜支社。

 昨日の話にも書いた気がするが、どういうわけか陰陽連絡の路線で伯備線だけが電化しているので、この路線ではキハ120なんて贓物は来なかった。そういえばなんでここだけ電化してるんですかね

 ボックスシートを丸ごと占拠して足を広げて寝ようとしたら備中高梁で鬼のように人が乗ってきた。いったい何ぞ!?

 ところで今日はついに「ひとりでビジネスホテル泊まれるかな?」のコーナー、始まりました。要するに岡山でついに乗る列車がないので、格安ホテル(4000円くらい)を予約している。宿の台帳に15才なんて書いて拒否されないかとか、色々不安要素だらけですが、とりあえずケータイでホテルの場所を調べましょう。

 …、グーグルでホテル名を入れると、二番目に 「岡山駅周辺のラブホテル事情」などというサイトが出ていた。ええっと…ひょっとして間違えてお二人様専用のホテルを予約しちゃったんですか?残念ながら当方、おひとり様な上に、相手なんていないし今日まで彼女いない歴=年齢を貫いてきた身であるから、そんなところに縁があるわけがないのであるが。予約してしまったものは仕方ないので、もしもそういういかがわしいホテルだった場合は、…どこを恨みましょう。

終(ファイナル)・D

 はてさて、まだ吉備線というとても存在意義のわからない路線が残っている。

 乗ろうとしている列車は、最終便。終電…と言いたいがこれ電化してない=電車じゃない(そこら辺にこだわるのが鉄道ファン)、終ディーゼルカーなんて言い方は絶対しないからなんだろう…、ある鉄研部員は言った。

「終D」

 なんかイニシャルDみたいでかっこいい。よしそれ採用。

 総社の駅は新しくなっていた。二番線に到着、「吉備線は三番線」みたいに書いてあったので、エレベーターを使って三番線に行くと…

「終Dは一番線から発車」

 えーっと、つまり、わざわざホームを移動しなくても二番線と一番線は同じホームなので、そんなことしなくてよかったってことですね。なんてこった。ていうか一番線にすでに止まってるじゃないか。

 伯備線岡山行きを降りてわざわざ吉備線岡山行きに乗り換えるなんて普通しないよな…。

 二両編成あるが、この列車はワンマン。後ろの車両に乗っていたが、無人駅では一番前しか開かないので…

乗客「え・・・あれ・・・ドアが開かない・・・」

 という事態が発生していた。地元民なら慣れているはずなのできっと彼は地元民じゃないんだろう。

 特に問題なく岡山に到着して、駅から歩こうと(徒歩五分)試みるが、何せターミナル駅だ。

でかすぎてどこの通りから歩くのかよくわからない

 …もう十一時半、そろそろポリスマンが怖いからタクシーを使うことにしよう。うん。安全はタダじゃ買えないしね。

「ホテルリバーサイドまで」

「あいよ」

 私はタクシーの運転手とすらまともに会話をしないというコミュニケーション能力の欠如っぷりを発揮した。というか徒歩五分なんだから二分くらいでつくわけでして。

「運賃400円でーす」


 …え?今なんと?四百円?え?岡山市のタクシー安すぎるでしょ。え?東京じゃ初乗り710円でしょ

 本当に400円で済んだようなので、安心してホテルに入る。たぶん普通のビジネスホテルっぽい。

はじめてのびじねすほてる〜ひとりでとまれるかな?〜

「3980円になりまーす」

 えっと。ホテルって先払いなんですね

 中に共同浴場があったが、なんか知らないけど男性専用。ロビーのトイレも男性専用。ここは男性専用だったのかひょっとして。何が岡山県のラブホテル事情だ。


 ロビーにあるパソコンを見ながらゆっくりしようとしたら、ロビーは午前一時までだって追い出された。ここは民宿かよ、おい。

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