石炭をばはや積み果てつ。時刻は7時30分、明日は8時半出発だと思ってその時間に起き、計画表を見たところ…
岡山8:06―(津山線)―9:37津山10:07―(姫新線)―11:45新見12:36―(芸備線)―13:56備後落合14:10―(木次線)―15:08出雲横田16:06―(木次線)―17:36宍道17:40―(山陰本線)―18:46米子19:30―(伯備線)―23:09岡山
どうみても八時です本当にありがとうございました。だめじゃん。
それからは大わらわで出発の準備をし、朝食なしでよかった、などとぼやきながらホテルを飛び出したが、そういえば、だ。昨日はタクシーでここにやってきた。つまり…駅までの道がわからない。
昨日調べただろお前、って言われるかもしれないが、残念ながらうろ覚えなので、ましてや駅までの道を逆算しろだなんて無謀である。
とりあえず右に曲がって川沿いの道をテキトーに歩いていると、いわゆるジョガーなおじいさんが現れた。
「すいません」
「ん?」
イヤホンをしている。ひょっとしてiPodで音楽を聴いていたのかこのおじいさん。なんてハイテクな爺さんなんだろう(携帯ラジオって可能性も、無きにしもあらずだが)。
「岡山駅はどっちですか?」
私が今歩いている先を指差した。普段は鉄道以外のことに関しては恐ろしい方向音痴で、六本木交差点から広尾を目指して歩いたら赤坂のアークヒルズにいた(要するに逆方向を進んでいた)、なんてこともあるくらいなので、逆方向に突き進むことを警戒していたのだが。方向がわかれば怖いことなんてない、とばかりにキャリーバック片手にものすごいスピードで進み始めた。キャリーバックがごろごろごろごろうるさいなんて気にしない。
地下通路の存在に感動し、どうしてここまで岡山駅は激しく変わったのだろうと二年前の岡山駅訪問を思い出し、しみじみしている・・・暇はなかった。改札に入った時点で八時五分。走らないと間に合わない!私は50m走のタイムでクラス内ブービー賞をとれるくらいの俊足で走った。
発車のベルが鳴った、まだひとけの…などと歌っている場合ではない。ぎりぎりセーフ!
大勝利に満足した私は津山まで寝始めるのであった。
当然のごとく朝食をとっていないので、昨日も来たこのとても怪しい食堂に入る。くどいようだが、「うどん・そば・ラーメン・牛丼・かき氷・いなり寿司・おにぎり・焼うどん」という意味のわからない組み合わせで、二刀流の河童が暴れるマークのあの店だ。その名もごんご武蔵!!
ここで普通にうどんを注文したが、真夏なのに、朝っぱらから焼うどんを注文するという酔狂なことをしたほうがよかったんだろうか、旅行記的には。でも昨日牛丼食べたし、いいよね(何が)
津山から、昨日も乗った姫新線で新見に行く。ちなみに車窓を見たら、一面の水田。こんな山奥でも米を作ってるんですね…。政府にとっては米が足りなくて、米屋を襲撃して一人で米俵(60kg)を担ぎあげる主婦の集団が現れたり、何かをとち狂って神戸新聞社や鈴木商店が襲撃されて跡形もなく建物がなくなったら困りますもんね。というかこの旅行中、何線に乗ってもキハ120と水田か山林しか見てないような…。
新見には、wikipeida先生によると、「ハートストア」とかいうJR西日本キオスクの経営するコンビニみたいなのが駅の隣にあるそうだ。よかったこれで昼食が…と思って、駅から出た。意気揚々と。
駅員に聞いたところ「三月に閉店した」だそうだ。うむ。こういうことがあるからwikipediaは信用しちゃいかんのですね。
駅構内のキオスクは…なんと午前11時20分まで営業して長い昼休みに突入したようだ。なんということでしょう。ここまで営業時間の短いキオスクってのを見たことがない。
昼食食いっぱぐれが確定し、仕方ないので芸備線のホームに行くとそこには…
恐るべし。確か芸備線は一両編成なのだが、一両編成にこんなたくさんの同業者が乗るのか。そしてこいつらの目的は一体なんだ。芸備線を昼間のうちに乗りたい層と木次線に乗りたい層がどれくらいの割合で分かれてるんだ、え?
芸備線でしばらく突き進むと雨が降り出した。山奥に入るたびに大雨が降ってるような気がするけど気のせいじゃないだろう。
備後落合についたころにはすっかり止んでいた。山の天気の変わりやすさはやばい。
ところで、備後落合には数日前にも来たが、ここは芸備線と木次線の乗り換え駅である。芸備線の列車は大体この駅で運行系統が分かれる。そう、この時間は珍しく双方の接続がいいため、今乗ってきた芸備線新見方面からの列車と、芸備線三次方面からの列車と、木次線木次方面列車、三方向がほぼ同時(あくまで田舎基準)にやってきて…三方向から同時に同業者を大量に吐き出している。ちなみに、木次線も芸備線も一日三本しか来ないので、一同に会すのは一日のうちこの時間だけ。
←三方向の列車。 (※↑左側の写真の右側が木次線) ↑EKI NOTE木次線は、予想通り、全員乗客が同業者であった。でも…なんかいたんですよ、Femaleが。鉄子…だと…?????
同業者はみな外の景色に釘付け。ああ、わかりやすい。なんて同業者だらけなんだろう。しかも、これだけ沢山同業者がいるのにお互い無口なんですね。
三井野原駅のホームに「おろちループは当駅下車」などと書いてあった。おろちループというのは、山奥の高低差を解消するため、くるくるとループしている国道で、ここら辺の名物になっているそうだ。木次線からはループの全景が見えるらしい(鉄子の旅に書いてあった)。で、同業者の皆さんは全員が全員おろちループはどこかとずっと窓を見てる。なんか怖い。
おろちループが現れた。同業者はみな一様に写真を撮り始めた。運転手はそれをわかってるのか知らないが、かなりのスロースピードで運転している。いや、サービスのつもりならうれしいけど、そうじゃなくて線路の都合でこうなってるなら、こんなんだから自動車(おろちループ)に負けるんだよ…と言わざるを得ない。
この区間6kmしかないのに二十分もかかる。前の駅を出たのは14時32分なのに、次の出雲坂根到着予定は14時52分。
坂根駅周辺は、三段式スイッチバックと言って、二回も方向転換をしないといけない。ワンマンカーなので両方の運転台に運転手を配備してスイッチバックするなんていう(京急がやりそうな)高等芸はできるはずがなく、運転手がいちいち列車内を往復している。一両編成だから大した苦でもないかと思っていたら…
「ひゃうっっっ」何が起こったのかが理解できなかったが、同乗している唯一の女性(要するに鉄子)が床に倒れていた!しかも、意識がないようだ。
お互い何も会話しない同業者が動いた。数人が、携帯電話で119番して救急車を次の出雲坂根駅に呼ぼうとしている。初めて車内に生じる会話
同業者Aが、鉄子の座っていた座席付近にあった切符を拾い上げる。
列車は出雲坂根駅に到着した。
ここは駅自体が折り返し(スイッチバック)なので、停車時間は少し長めにとっているような気もするが…
「救急車はあと15分くらいで来るそうです」15分って…。東京では「救急車が現場に到達するまでの時間が平均6分から平均6分半に延びちゃったからあんまり呼ばないでくれ!!」みたいな感じのポスターが貼ってあった気がするのだが、このあたりでは10分の壁をはるかに超越しているらしい。これだけ田舎だと、ひょっとして搬送する病院もないのではないかとさえ思えてくる。
さっきの切符を同業者Aが運転手に見せる。 運転士「これは…横田までの切符ですね」
彼女が出雲横田で降りて何がしたかったのかは不明である。
その後、レスキュー隊に担架で運ばれる際に意識が戻ったが、一応病院に運ぶことになった。
ところで、この駅は延命水で有名な駅である。というわけで、レスキュー隊が来た頃に延命水を飲もうとしたところ…
これ、水飲めねえだろ。
運転手「皆さん宍道(木次線の終点)まで乗りとおしますか?」この列車は出雲横田行きである。このまま行くと出雲横田駅で十五分くらい遅延して到着する。乗り継ぐなら出雲横田で一時間近い余裕がある。運転手はそのことについてたずねたかったのだろう。全員うなずいた。さすが同業者。出雲横田で全く縁もゆかりもない人が降りてもどうしようもないけど。
列車は十分以上遅れて発車した。一日三往復しかないから十分遅れても次の列車には全く影響しないのだが。
終点の出雲横田に到着した。あと一時間あるけど乗り換えるかと思って外に出ようとしたところ…
運転手「この列車が宍道行きになります」なんということでしょう。同業者100%の状態でこのまま宍道に行くらしい。外は大雨、車内でゆっくりしていくか。
ところで、この駅は運転形態上はとても重要な駅で、宍道から来た列車の半分はここで折り返すのだが、駅には何もない。隣の亀嵩と八川にはそれぞれ名物のそば屋がある、というのに。何を言いたいかというと、今日、まだ昼食にありつけてないんですよねってことだ。
同業者100%のまま、列車は出雲横田を出発。7km走るのに10分かけて隣の亀嵩に到着すると…同業者Bが降車口に立って何かを受け取っている。元の席に座って彼は蕎麦をすすり始めた。そう…
駅舎には扇屋という蕎麦屋が入っており、乗車券の販売が同店の店主に委託された簡易委託駅である。名物の奥出雲そばは、前もって電話で予約すれば、列車到着に合わせてホームで受け取ることも可能。
(亀嵩駅 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)電話すりゃよかったよ。
周りに田んぼが増えて、平地になってきたかなってあたりで雨が止んだ。やっぱり山の天気は変わりやすいらしい。
宍道駅は山陰本線の乗り換え。今までさらっと「宍道」って書いてきたが「宍道湖(しんじこ)」の名を知らないと絶対読めないよね、この駅。
境港(さかいみなと)市がゲゲゲの鬼太郎の作者・水木しげる氏の出身地だからって理由で、境港と米子を結ぶ境線が、駅名の愛称に妖怪の名前をつけまくったり、妖怪塗装の列車が走ったり、米子駅に霊番線を作ったりと、PRに必至なのはわかるが、山陰本線にまで鬼太郎塗装の列車を走らせなくていいんじゃねえかな…。
米子に着いて最後の晩飯くらい豪勢にしてやろうと駅の2階の食堂で見本を眺めながら「鬼太郎まぐろラーメン」というわけのわからないものを買おうとしたんだ
ちなみに今18時50分。勝手に閉店すんな。
駅のコンビニことハートインで携帯の充電器(電池式)の電池を買ったら所持金がいつの間にか2万円以下、実はこのあと合宿に合流というイベントがあるのに、合宿に合流出来そうもないということに気付いたので米子駅前のATMコーナーに行く。
@鳥取銀行ATMに入る→引き出しボタンを押す→カード入れる→暗証番号入力→金額入力→
A隣にあった山陰相互銀行のATMに入る→引き出しボタンを押す→カード入れる→暗証番号入力→金額入力→
「他行のカードは現在使用できません。」
金額入力まで行っといてそれはないだろこのタコオオォォォォォォォォォォォォォォォ最初から受け付けとけないようにしとけよこのバカモノォォォォォォォ
B米子銀行かなんかのATMに入る→→引き出しボタンを押す→カード入れる→暗証番号入力→金額入力→
「他行のカードは現在使用できません。」
金額入力まで行っといてそれはないだろこのタコオオォォォォォォォォォォォォォォォ最初から受け付けとけないようにしとけよこのバカモノォォォォォォォォォォォォォォ
馬鹿にしてんのかこの田舎者があああぁぁぁぁぁ!!
ウィキペディア先生によれば駅前にマクドナルドがあるそうだが見当たらない。Googleを使用した結果…
駅徒歩5分のサティの中にあるらしい
駅前って言わねぇぞ普通!この記事編集したヤツは目の前に来て土下座しろ!!!!
カネはあきらめて駅そばに入ろう、中におばちゃんいたし閉店とは書かれてないし。
駅そばも開いていなければ駅弁業者(この駅では駅弁業者=駅そば業者)列車が出るまで10分切ったのでハートインの弁当を食うはめになった。
こんなんだから人口60万人を割ってワースト一位になるんだよカス。
というわけで、伯備線の岡山行き最終電車に乗ってハートインの弁当をむさぼることになったのだ。最後の晩餐(笑)
ところで、この伯備線の列車は実は昨日も乗っていた。新見から総社まで乗ったあの列車である。というわけで…
「まもなくー備中高梁です」
昨日と同じく、備中高梁から意味不明な混雑が始まる。本当に何があった。
同じボックスに乗り合わせた外国人といわゆる不良二名の会話。ヤンキーの会話を日本語、外国人の会話を英語で表記する。
「ニーハオ!アンニョンハセヨ!アッサラームアライクム!ハロー!」
「Hello!」
「イエー!」
「YEAHHH!」
「アイムフロムジャパン!」
「I'm from HATENA!」
いやー、このテンションとコミュニケーション能力を見習いたいもんだが、うるさい、黙れ。
ちなみにこの不良、「おっぱっぴーあ」などとも叫んでいた。「おっぱっぴー」と「ラスタラスタピーア」という小嶋よしおのギャグを混ぜた感じらしいが、小嶋よしおってこの時点でも「過去の人」なんですけど…
今日はこの旅行もラスト、ムーンライト松山に乗って、「ちょっと松山行ってくるPart2」の始まりである。この旅行記、仮称は「ちょっと松山行ってくるPart2」だったんですね。